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粕屋通り魔殺人の現場から感じたこと


7月上旬、福岡県の粕屋町の須恵川で殺害された女性の遺体が発見される事件がありました。

殺人容疑で逮捕されたのはこの町に住む土木作業員の30代男性。

女性はこの日、ショッピングモールで購入した自転車に乗り自宅へ戻る途中に被害に遭ってしまいました。
犯行動機など詳しい情報は報道されていませんが、女性は犯人との面識はなかったらしく、通り魔殺人である可能性が高いと思われます。

女性には、ご主人と小学生のお子さんがいらっしゃるそうです。
最愛のお母さんをこのような形で奪われてしまったご主人とお子さんのこれからを考えると、決して許される犯行ではない。
犯人には強い憤りを覚えます。

先日、その現場を犯行時刻近くに2人のメンバーとパトランしてきました。
「なぜその場所で犯行が起きたのか」
犯罪はその場にも起きる原因があります。
犯行現場から学ぶことはこれから起きるかもしれない犯罪を未然に阻止できることにつながります。
故に、現場から学ぶことは防犯パトロールに取り組む者としての責任であると、そう思っています。

女性が自転車を購入したというショッピングモールから犯行現場までは2キロ程度。
県道がまっすぐ一直線に通っていますが、絶えず車が走っているような状況です。

ショッピングモール付近はお店もあり、賑やかな通りですが、そこから100メートルほど進んでいくと周りは田んぼになり暗くなります。車からはあまりわからないのですが、実際通ってみると歩道は暗くすれ違う人の顔もはっきりと見えないほど。

道路を照らす街灯が10メートルほど間隔で設置してあるものの、半分以上は切れており役目を果たしていないことがわかりました。

消灯に気づいていないというよりも、あえて消しているような状況だろうと思います。
道沿いには中学校もあります。
事件直後にも関わらず、予防措置がとられていない状況に違和感を覚えました。

暗がりで人気もない状況が1キロくらい続きます。

犯行現場に近くにつれ、道沿いには死角をつくる1メートルほどの雑草が鬱蒼と生い茂ってきます。

現場付近は植え込みの木と雑草で完全に死角です。

外から見ると、歩道の状況は全く見えません。
この付近で車で待ち伏せしていたとしても、路上からは死角となっています。

街灯と同様にここも放置されている状況。
果たして、これでいいのだろうか?
この状況からは、今後この場所での犯罪を防ごうという意思を感じることができなかった。

この道沿いの脇に、犯行現場はありました。
川沿いに道幅1メートルくらいの砂利道、向かいには畑があります。
現場は草が刈ってあり、見通し良い状況となっていましたが、犯行時は雑草が生い茂っていた状況だったようです。川を挟んで向かいにマンションがありますが、犯行時には死角となっていたのかもしれません。

犯人は付近を車でうろついていた際に、自転車で帰る女性を見かけ、車で尾行し、犯行現場付近で待ち伏せしたと思われます。

この付近に不審な車が止まっていたのを目撃した人、そして女性の声で助けてという叫び声を聞いたとの報道もありました。
向かいのマンションは距離的には、女性が悲鳴をあげれば声は届く距離です。
しかしながら、女性の助けを求める声で行動できた人はいなかったようです。

現場には花が手向てありました。
帰りを待つお子さんに、新しい自転車を見せてあげようと楽しみにしていたと思うんです。
そんなささやかな家族の幸せを奪う権利などあってはならない。
パトランとして何ができるかを今一度考えさせられました。

現場を見て感じたことは3つ。

1つは雑草の危険性。

今回の現場で犯行が起きたのは雑草が生い茂っていたからに他ならないとわかりました。

雑草が刈ってあり、見通しのよい状況であったならば、今回の事案はおそらく起きていなかった。この場所に限らず雑草が死角を作る場所は山ほどあります。そのような危険箇所を発見し、速やかに行政など管轄機関に伝えることの重要性を改めて感じた次第です。

2つめは、市民の行動は犯罪防止への強い歯止めになるということ。

今回は、不審な車両や叫び声を聞いた目撃者がいたにもかかわらず通報した人はいませんでした。
これは勇気がいることです。目撃者を攻めることはできません。
ただ今回のことに限らず、誰かがやってくれるだろうと無関心になるのではなく、勇気を持って行動できる人が一人でもいたら、もしかしたら結果は違ったのかもしれないと思うのです。
そして、自分たちのような防犯パトロールに取り組む人が増えれば、未然に犯罪を抑止できる可能性は高くなる。市民主体の防犯パトロールは街の安全づくりの一助になることを改めて感じました。

最後は、現場での対応が不十分であること。

現場付近の道路は、建物もなく真っ暗ですれ違う人の顔も認識できない状況でした。

街灯はあるのですが、消灯しておりその役目を果たしていません。あえて切っているように思われますが、殺人があった場所であり、付近には中学校もあります。僕らがパトロールした日も暗い中、中学生くらいの子どもが自転車に乗って帰宅していました。

そして雑草も放置の状態です。道路からは雑草で現場付近の見通しは悪いまま。同じ場所で犯罪が起こることはないだろうとのことから対応が甘いのか。この現場からは犯罪を抑止する意思を感じることはできなかった。

犯罪が起こる可能性を1%でも低くするための行動を起こしてほしいと切に願います。

もしその必要性に気づいていないのなら、その声を届けるのも我々の役目であると思います。まずはこの場所について、このままの状況は危険であると感じましたので、管轄の自治体へ改善要望を提出し、犯罪抑止に向けた行動を促していきます。

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