パトランについて

街を走ってパトロールする「パトラン」は、市民が主体的に進める活動です。2013年1月に福岡県宗像市でスタートしました。真っ赤なTシャツを着て、主に夜間や子どもたちの下校時間を中心に、ランニングをしながらパトロールを行います。個人のライフスタイルに合わせた柔軟な参加が可能で、地域の仲間づくりや健康増進といった個人のウェルビーイング向上にもつながります。誰もが無理なく続けられる緩やかな活動を通じて、地域に温かい見守りの目をつくり、誰もが暮らしやすいまちづくりに寄与しています。

– MISSION

私たちの使命は、パトランを通じて地域の隅々まであたたかな見守りの目を届けることです。それは、単なる監視ではなく、思いやりのある地域コミュニティの形。誰もがお互いを気にかけ合える社会です。あたたかな目で見守る人々の輪を広げていくその先に、不安のない、安心して暮らせる社会を見据えています。

パトランでは『街頭犯罪や事故の減少』『認知症高齢者の行方不明』『社会的孤立』を重要課題として捉えて活動を行なっています。

2023年の刑法犯認知件数は703,351件でした。これは1日あたり約1,927件の犯罪が発生している計算になります。2021年に過去最少を記録して以降、2年連続で増加しています。こうした犯罪や事故は、いつ、誰の身に起こるか予測することができず、私たち一人一人の日常に潜んでいます。

認知症高齢者の行方不明は、日本において深刻な社会課題となっています。警察庁の統計によると、2023年の行方不明者数は19,039人を記録し、統計開始年の2012年以降、毎年増加し10年間でおよそ1.8倍に膨らんでいます。行方不明者の大半は発見されるものの、発見までに数日から数週間を要するケースも少なくありません。2023年には502人が遺体で発見されるという痛ましい結果も。高齢化社会の進展に伴い、この問題はさらに深刻化する可能性があります。

日本では社会的孤立と独居世帯の増加が深刻な社会問題となっています。調査によると、社会的孤立状態にある人は国内で1900万人に上り、OECD加盟20か国中最も高い割合を示しています。この社会との断絶は、様々な課題を引き起こす要因となっています。

【健康への影響】 社会とのつながりの希薄化は、健康に深刻な影響を及ぼします。研究では、この状態は1日15本の喫煙に相当する寿命短縮効果があるとされています。死亡リスクは「社会的孤立」で1.29倍、「孤独感」で1.26倍に上昇することが明らかになっています。
-ブリガム・ヤング大学の調査結果より

【自殺・孤独死の問題】 2023年の自殺者数は21,837人を記録し、日本の自殺率は依然として世界的に高水準です。特に50代が全体の約20%を占め最多となっています。特に、職場以外での人間関係が乏しい場合、ストレス解消の機会も限られ、精神的な負担が増大する傾向にあります。
2023年警察庁統計より

【災害に対する脆弱性】 日本は自然災害が多発する国です。個人の孤立は地域コミュニティの絆を弱め、共助の基盤を揺るがします。近年頻発する地震や豪雨災害に効果的に対応するためにも、地域の相互扶助関係を強化することが急務となっています。

2013年の活動開始以降、現在までパトランは全国45都道府県に広がっています。また最近では、アジアを中心に海外へも活動が波及しています。

私がパトランを始めたきっかけは、知人の女性が不審者の被害にあったことでした。幸いにも、大きな被害には至らなかったものの、彼女の心には確かな傷跡が残ってしまいました。「もしその場に誰かいたら被害を未然に防ぐことができたはずではないだろうか」ーこれが私が地域の安全について考える最初のきっかけでした。日本全体でみると刑法犯の犯罪数は減少していますが、犯罪そのものがなくなっているわけではありません。時代の変化に伴い、地域の見守り役がいなくなってしまうことが懸念されます。私たちはそんな現状に目を向け、誰もが不安なく過ごせる社会の実現を目指しています。

パトランJAPAN事務局

全国のメンバーの活動をサポートするためパトランJAPAN事務局を設置しています。

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