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【西日本新聞掲載】パトランの背景とその魅力


3月1日の西日本新聞オピニオンにて、少し執筆をしました。

自由テーマで900字程度書いてほしいとの依頼があったので、苦手な作文です。

記事はこちら >

 

せっかくなので原文も載せておきます。

 

2019年度の刑法犯の認知件数は戦後最少を記録した。

この年が特別だったわけでなく、2002年をピークにずっと右肩下がりを続けている。
その要因として、市民による防犯ボランティアの存在があげられる。

その数は認知件数の減少に比例して増え続け、2016年には272万人となった。

これは警察官の約10倍の人数だ。
こうして、市民主体で地域を見守る目を作り続けてきたが、人口減少や高齢化など時代の変化を受けその担い手は減少している。市民による防犯活動は成熟から衰退期へと突入した。
日本全体の犯罪数は減っているが、ゼロではない。
市民の防犯活動がこのまま衰退するのを、指を加えて眺めるだけではいけない。
防犯活動も時代に合わせカスタマイズする必要があると模索して辿りついたのがパトランだった。

 

パトランはランニングしながらパトロールする取り組みだ。
よく勘違いされるのだが、ランニングついでのパトロールではない。課題を捉え、パトロールの手段としてランニングを活用している。2013年に福岡で始まり、現在は全国38の都道府県で2,000人程のメンバーが昼夜問わず活動している。

小学生から80代まで年齢の幅は広いが、主軸となるのは3040代の世代だ。
参加動機は様々だが、地域のためにという熱い思いを持って参加するメンバーは意外にも少ない。

どちらかというと、地域活動とは疎遠だった人だ。
「パトランに取り組むことで仲間が増えた。帰って寝るだけだった地域に自分の居場所ができた」ランニングなどのスポーツは、地域活動に参加するハードルを限りなく低くしてくれる。

パトランのような地域ボランティア活動において重要なのは個々人の自主性にある。
自主性を育むには、余白が必要だ。パトランでは、交通ルールやモラルを守るなど最低限の規則しか設けず、メンバーが自由に考え行動できる余白を残している。
自ら考え行動するため、活動への意欲は高い。時には問題に直面したりと楽なことばかりではないが、やり遂げることでの達成感やそこに至るまでの過程がやりがいを生む。

地域の課題を知り、未来を考え行動し、同じ思いの仲間を作っていく。その過程にこそパトランの本質的な価値があるのだと思う。

 

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