10月5日に山形で開催された「山形まるごとマラソン大会」でパトランメンバーによる救命対応がありました。以下、現場で対応したメンバーによるレポートを掲載しています。
当時の対応状況
ハーフマラソンを走り終えたパトランナーたちが続々と合流していた午前11時過ぎのこと。
「パトランさん! 倒れた人がいます!」
応援していた大学生数名が、慌てた様子で駆け寄ってきました。遠くを見ると、うずくまる男性ランナーの姿。
すぐにコース反対側にいたメンバーへ「救護を呼んで!」と声を上げ、現場へ急行しました。
声をかけると、わずかに反応があるものの意識は朦朧。すぐに左側臥位(回復体位)にし、ゼッケンで名前を確認しながら呼びかけを続けました。
ランナーのメガネ・帽子・イヤホンを外し、医師・看護師が到着すると、これまでの経過を報告。
その間にも、ランナーの血圧はみるみるうちに100を下回り、酸素飽和度(SpO₂)も91%から88%に低下。顔面は蒼白となり、下肢に強い痙攣が見られました。届いた氷で頸部と腋下を冷やし、体温の上昇を抑えます。
「高い位置で足を上げよう!」との声で、パイプ椅子を活用し下肢を適度に保持。
その間、看護師が点滴を開始し、腕を安定させるためのサポートに集中しました。
発見からおよそ20分後、ランナーが突然意識を回復。
名前・生年月日・現在地のすべてに正しく回答でき、心疾患の既往もないことを確認。
しかし酸素飽和度は依然として90%台にとどまっていました。
まもなく救急車が到着。救急隊員にこれまでの対応経過を説明し、担架搬送をサポート。
ゴール間近のコースを安全に抜けるため、全パトランナーで交通整理を行い、救急車を誘導しました。
こうして一連の救護対応は無事完了。
現場にいた全員が、一体となって一人の命を支えた瞬間でした。
チームとしての結束と、パトランの本質を強く感じた出来事となりました。