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【まとめ】2017年度 犯罪を取り巻く日本の現状


2017年の犯罪情勢

2017年も無慈悲な事件がいくつか起きてしまいました。残念ながらこのような事案が世の中から根絶していないのが現状です。

世間を大きく揺るがしたのは松戸市で起きてしまったの悲惨な事件。

容疑者は保護者会会長で子ども達の安全を守る立場であったこともあり、防犯ボランティアや団体などへの信用性が世間からも問われたように思いました。

このような事件は大きくメディアで報道されることもあり、人々の不安を煽ることにも繋がります。日本全体の犯罪数は減っているにも関わらず、世の中は安全になったと感じれない人たちが多いのはこのような報道を受けての影響も少なからずあるはずです。

2017年を取り巻く犯罪状況について私なりの見解を入れてまとめてみました。

日本の刑法犯数は2002年の3分の1に

2017年の刑法犯の認知件数は91万件でした( 詳細はこちら >
これは2002年をピークに年々減少しています。
2017年の件数は2002年と比較するとおよそ3分の1となっています。
減少の背景には、防犯ボランティア数の増加や警察の取り組み強化、監視カメラの増加などによるテクノロジーの発展などが関係していると考えられます。

2017年  915,042件(昨年比▲8,2%
2016年 996,120

都道府県別の認知件数

都道府県別の認知件数の推移はこちらです。東京大阪の2大都市が10万件を超え他県を大きく上回る結果となっていますが、以前は10万件を超える県数はもっと多くありました。
ちなみに1万人あたりの犯罪率を見ると、最も高いのは大阪で121、ついで兵庫の93、東京の91となります。

1.東京  125,251 (▲7%)
2.大阪  107,023(▲12.4%)
3.愛知     65,511(▲6.8%)
4.神奈川   63,628(▲7.7%)
5.埼玉    63,383(▲8.7%)
6.千葉    52,974(▲7.5%)
7.兵庫    50,821(▲4.4%)
8.福岡    42,126(▲9.6%)
(は前年比増減率)

犯罪別の件数

パトランの活動で犯罪抑制の対象とするのは街頭犯罪です。その代表的なものとして以下の4つ犯罪を抑制させるべく活動しています。各犯罪においての都道府県別の犯罪状況は以下です。
全体的に減少していますが、放火のみプラスに転じてしまっています。

●性犯罪6,918件(▲3,7%)
強制性交等と強制わいせつを合わせた数値です。

大阪  894件
東京  887件
埼玉  539件
神奈川 483件
愛知  452件

●ひったくり2,894件(▲17,1%)

大阪  646件
東京  382件
神奈川 326件
埼玉  293件
千葉  213件

●放火959件(+4,9%)

大阪  177件
東京   69件
千葉   57件
兵庫  56件
福岡  49件

●窃盗655,498件(▲9,4%)

東京  87,404件
大阪  82,644件
埼玉  47,120件
愛知  46,133件
千葉  39,595件

体感治安

人々が感じる安心感(体感治安)は犯罪の減少に伴って改善されている訳ではありません。

内閣府の「治安に関する世論調査」によると、「ここ10年間で日本の治安はよくなったと思いますか。 それとも、 悪くなったと思いますか?」への回答では、「悪くなったと思う」が、60,8%と半数を占めています。なお、「よくなったと思う」は、35,5%です。

その反面、日本は安全だと思うか?との問いに対してはおよそ80%の人が安全だと思うと答えています。これは海外諸国と比較すると日本の安全性を感じているが、日本自体は犯罪は過去と比較して多くなっていると感じる人が多いことを示しています。

●ここ10年間で日本の治安はよくなったと思いますか?それとも、 悪くなったと思いますか?
「悪くなったと思う」 60,8%
「よくなったと思う」 35,5%

団体数の推移

防犯ボランティア団体数は2003年(H15年)以降増加の一途を辿っていましたが、2017年は初めて減少に転じました。これには日本全体の人口の減少や防犯活動主体の高齢化などが主な原因でしょう。
内閣府の「治安に関する世論調査」によると、「地域社会の連帯意識が希薄となった」と感じる人は54.6%と半数を超えています。地域に住む人たちとの繋がりは確実に希薄化しており、従来の地域社会で維持できていた地域全体で見守る力は時代の変化と共に徐々に弱まりつつあります。

都道府県別の団体数では、最も団体が多いのは埼玉県で6,064団体となっています(H30警察庁調べ)犯罪認知件数と防犯ボランティア団体数を比べると犯罪数が2番目に多い大阪では団体数が1,791と少ないことがわかります。犯罪数を防犯団体数で割った指数で見ると大阪が60と圧倒的に高くなります。これは1団体あたりに割り振られる犯罪件数になるためこの数は低くなることが理想です。
最も低いのは団体数が多い埼玉県でその数は10となります。

<全国の防犯ボランティア団体数>
H29
 47,444団体
H28 48,160団体(▲716

<都道府県別>
1位 埼玉県 6,064団体
2位 東京都 3,792団体
3位 神奈川 3,580団体
4位 千葉県 2,663団体
5位 愛知県 2,503団体
6位 福岡県 2,393団体
7位 兵庫県 2,037団体
8位 大阪府 1,791団体

防犯活動人数の推移

団体数の減少と合わせ、防犯活動に取り組む人数も大きく減少しました。
団体数の減少は716団体だったのですが、活動人数はおよそ10万人減少しています。
これは平均すると1団体で約139人となります。現在の1団体あたりの平均構成員人数は55人なので、比較的大きな規模の団体が減少したことが読み取れます。

<防犯ボランティア団体構成員数>
H29 2,626,016
H28    2,725,437人(▲99,421人

防犯活動主体の高齢化

防犯団体の平均年齢が50歳以上の団体は全体の83.9%(昨年比+1%)にものぼります。
逆に40代以下で構成される団体数は16.1%と全体に占める割合が低いのが現状です。

出典:警察庁H29

 

パトラン実施地域での犯罪数の推移

パトランチームがあり継続的に活動を実施している地域においては、日本全体の減少率(8,2%)を上回っています。最も減少率が高い西尾市では前年と比較して20%犯罪を減少させることができています。
パトランのような市民主体の防犯パトロールが効果的であることを実感できます。
もちろん、パトランだけで全ての犯罪を世の中から無くすことはできないですが、警察や行政などと連携して取り組みを進めているその成果も少しづつ形となってきています。

まとめ

刑法犯の認知件数は年々減少してはいますが、それと体感治安には大きなギャップが見受けられます。
また減少しているとは言えども、年間100万件近い犯罪が起きているのが現状で、表に出ていない事案はこれらの数には含まれていません。多くの犯罪被害に巻き込まれている罪なき人々がたくさんいます。そして人口減少、高齢化、コミュニティの崩壊などの影響も相まって地域の見守り役は減少の一途を辿っています。これらは決して楽観視できるものではなく、地域に住む人たちが主体となり、自らの地域の安全をどう作っていくかを考え実践していくことが必要です。その一端を担うため、我々はランニングという手段を通じて、日々のパトロールに励んでいきたいと思います。

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