代表ブログ

福岡刑務所と福岡県警本部へ行ってきました


防犯への知識を高めることを目的に、1月21日に福岡県警本部と福岡刑務所へパトランメンバーと視察に行ってきました。

まず最初に訪れたのは県警本部。
こちらでは主に通信司令室と交通管制センターを見学させていただきました。

通信司令室は福岡の110番の際につながる連絡先で県警本部に設置してあります。
司令室全体では70名ほどのスタッフで、普段は20人ほどのスタッフがいて対応しているそう。
1日平均1500ほどの件数があるそうで、この日も午前中ながら600件近くの連絡数が表示されていました。
映画館のスクリーンのようなモニターには、警察車両の位置や各所の防犯カメラの映像などが絶えず表示されていてヒリヒリと緊迫した様子が伝わってきます。
通報から現場へ駆けつけるまでの平均は6分程だそうですが、このようなシステムや体制あってこそだと感じました。

交通管制センターは監視カメラや道路状況を見ながら交通環境を維持する役割を司っています。
上に同じく巨大なスクリーンモニターに道路の主要箇所の監視カメラ映像や渋滞状況などが表示されていました。
道路状況を見ながら信号機の表示時間などを自動でコントロールしています。
道路交通状況のラジオブースも設置してあり、ここからパーソナリティーがラジオへ発信しているそう。

その他に、警察資料室の見学や上記を紹介するビデオも流していただきました。

全行程およそ1時間弱でしたが、学び多き時間となりました。

福岡刑務所へ

次に向かったのは糟屋にある福岡刑務所です。
こちらでは刑務所内の施設や刑務所でのプログラムについて伺ってきました。

福岡刑務所は東京ドーム4つ分の大きさで最大1800人を受け入れることができる九州最大の刑務所です。今回はパトランの取り組みを理解いただいた上で、特別に受け入れていただきました。

全体2時間の工程で、刑務所内の見学と刑務所の概要や取り組みなどについて調査官の方よりご説明いというのが全体の流れ。

まず刑務所施設は厳重で物の持ち込みはNG、もちろんカメラなどもNGで写真はありません。
私たちも内部を見学する際は2列で私語は控え、説明はそれぞれインカムを通じて聞きます。

施設内は、一糸乱さぬ規律性を何より重視をしている印象で並べている椅子や張り紙も整然と並べられてました。扉の施錠などは厳重で、施設を進む際にも20メートルぐらいごとに刑務官と確認しながら進むという感じです。

施設内の至る所には貼ってある「更生」の文字も印象深かった。
全体的には学校に近いイメージでした。体育館のようなホールや運動スペースもあり、受刑者の方が運動したり輪になって話をしていたりという場面も見れました。

特に興味深かったのは、受刑者の方の部屋。
独居房は3畳ほどのスペースにトイレや布団、本が10冊程度並べられる棚、テレビそして大きめの黒いスーツケースがあります。このスーツケースはそれぞれの貴重品など入れて施錠しているそうです。
日当たり良く暗く陰湿なイメージとは程遠い印象。慣れるまでの数週間は独居房で過ごし、その後共同部屋へ移動するそうです。

調査官の方も人権に配慮するということを言っていましたが、その一旦を感じます。
驚いたのは本の自由度の高さで、雑誌やマンガ、そして成人向け雑誌を置いている部屋もありました。

えっこれはいいんですか?と思わず質問してしまいました。

購入は欲しいものを依頼して取り寄せるそうですが、コンビニなどで販売している物などは基本的には購入できるそうで、成人向け雑誌もそれ故なのだとか。
ちなみに自費で購入する物の類は自弁品というそう。

どうやら世の中に販売してある物の購入を禁止できる理由がないというジレンマがあるようです。
なかなか難しい世界なんだな。

受刑者の1日の大半をしめるのは作業という工程。
それぞれが作業所で革靴やタンスなどの製品を作る時間で7:50〜16:30(昼食のぞく)がそれにあたります。目は合わせないでくださいと念を押されましたが、緑色の作業着を来た受刑者の方はこちらに目もくれず、黙々と真面目に作業をしている様子でした。

施設見学の後は、刑務所の概要や質応答などを調査官の方よりお話いただきました。
いくつかの内容をピックアップします。

福岡刑務所における受刑者の年齢と犯罪歴

受刑者の高齢化が顕著になり平均年齢は50歳だそうです。収容率は年々低くなりH22年では84%だったのがH29では69%までに減少。8人まで入る共同部屋にもスペースの余裕がありました。

入所する理由で一番多いのは窃盗で38,5%、薬物が36%、ついで粗暴犯、凶悪犯、性犯罪がそれぞれ10%未満となります。再犯者の割合は48%で最も多い人で22回入所した方もいるそう。
犯罪を起こさせない環境をどう作っていくかが再犯防止において重要なポイントとなるのは間違いなさそうです。以前話を伺った(株)ヒューマンハーバーさんも社会復帰には住まい、就労、教育の3つが欠かせないと言っていたことを思い出します。詳細はこちら >

なぜ人は犯罪を起こさないか

話の中で特にメンバーが深く納得していたのは、犯罪を犯してしまう理由より、なぜ人は犯罪を犯さないかに着眼点を置くということ。
人が犯罪を犯さない理由=自分がなぜ犯罪をしないかということにつながります。

多くの人が犯罪を起こさない理由としては「人とのつながり」があります。
それは家族だったり、恋人、友人など信頼できる人など人それぞれですが、その人たちの存在が大きいと言います。

そして、個々人がこれまでの人生で積み上げてきた地位や名誉、ステータス。
犯罪を犯すことでこれら積み上げたものを失いたくないということも抑止になっているとのことでした。

ハーシの著書「非行の原因」にもそれらの内容が記載されているそうなのでじっくり読んでみたいと思います。

刑務所と聞くと、日も当たらない暗く閉鎖的な空間なイメージがあるものですが、想像以上に人間的な生活が許容されている印象でした。
特に一同目を丸くしたのは、受刑者の部屋の私物(自弁品という)。
ファッション雑誌にマンガはまだしも、成人向けの本が並べてある状況には驚きました。
これ認められるのねっていう。
犯罪をなくすには、再犯率の減少が大きな意味を持ちますが、刑務所単体ではできることに限界があってそれを受け入れる社会の仕組みがどれだけ機能しているかが重要だということも改めて感じたところです。

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